2015年10月16日

じょうずに焼けました。

芋を焼きました。

芋という言葉の響き。い・も。これがもし「い・か」ならここまで郷愁は駆り立てなかったでしょう。「イカだからね…」ってことではなく、「むぉ」という何とも言えないもったりとしたこびりつく感覚。単に「も」ならいいってもんじゃないですよ。「か・も」「き・も」「く・も」だとここまで「むぉ」感は出てこない。気がする。

何故あか抜けないヤツのことをイモと呼ぶのか、語源は知らないしどうでもいいですが、それも何となくこの「むぉ」を感じたからこそなのでしょう。何かがこびりついてそうな感じ。それは味噌とか泥とか生活の中で自然と里山の風景に連想されていき、都会とは対照的な概念として見られたのでしょう。都会には絡みつくものは基本ないですから。

しかし、芋は焼きたい。

無性に焼きたい。

ドラえもんで見た落ち葉を集めて芋を焼き、木の枝で突き刺すあの感じをやりたい。そのために落ち葉を集めたい。しかし、落ち葉に火をつけると誤解を招きそうな気がする。狭い公園とかだと近隣住民と消防署と警察がほぼ同時に飛んできそうな気がする。

いやね、レンジとかグリルでもいいんですよ。でも、たき火をして焼かないとタダの芋じゃないですか。それは調理であって焼き芋ではない。例えるならば、川で釣った魚をその場で焼いて食べるのはアクティビティだけど、家でグリルで焼き始めた瞬間に「寄生虫とかおらんやろな…?」とか考えるみたいな感じで、調理になった瞬間にすべてが台無しになってしまう。

結局は屋台から買うしかないのか。

と思っていたところ、焼き芋ができるカフェというのにぶち当たりまして、生まれて初めて芋を火で焼きました。カフェなんでこじゃれた椅子があったりとかしつつ、オープンエアーで薪のコンロがあり、そこに芋を乗せて焼くのです。うむ、落ち葉とは若干違うが、焼き芋と認定しよう。

火!!

フモフモ編集長さん(@fumofumocolumn)が投稿した写真 -




芋を新聞紙にくるみ、それをドブンと水につけ、アルミホイルでくるむ。ははぁ、ドラえもんから察するに落ち葉の下に剥き身の芋を埋めておいて上から火をつけるのかと思っていたが、やはりホイルとか使ったほうがいいのか。この時点で胸はもうワクドキです。あれほどBBQを毛嫌いしている男が、何故似たような構図で焼くものを変えただけの行為に盛り上がっているのか。

そうか、僕はBBQが嫌いだったのではなく、BBQで集っているガッサガサした連中が嫌いだったのだ。落ち着いて考えたら、嵐とかがBBQやってるぶんには全然嫌な感じがしない。火を焚いて音楽を鳴らして自主制作の祭りみたいなことをしている文化圏が苦手だったのだ。そうやって考えるとBBQしてないときのBBQ族もやっぱり嫌いだった。芋を焼け。芋を。芋を焼きながらくるりでも聴いてるぶんにはイヤじゃない。

火にくべた芋を見守ること30分。芋は何の動きも見せません。表面のアルミホイルが煤で黒くなるくらいで、ゆだるとか動くとか何もなく、じっと焼かれている。終わりの時間が近づくにつれ、芋の匂いが漂ってくるけれど、何だか煙がこっちに飛んできたのでちょっと退散。

そして出来上がった芋。軍手をはめてホイルと新聞紙を剥がしていくと、そこには憧れの焼き芋さまが待っていました。モコッと折ると、微妙に焼き損じみたいな蜜が出てない感じの断面。だが、それも愛おしい。僕が焼いた芋。思わず近所にお知らせしたいくらい。芋が焼けましたよー!

芋!!

フモフモ編集長さん(@fumofumocolumn)が投稿した写真 -




味はとても濃厚で、甘い甘いスイーツのようでした。蜜がトロッと焼けた部分はそれだけで生菓子でも食べているかのよう。やはり芋だな。芋以外ではこの感じにはきっとならない。いろいろ味をつけたりし始めるとどんどん調理になってしまうから。芋はそれひとつでご飯でもあり、スイーツでもある完全食品じゃないですか。そこがいい。

山から掘った芋を、集めた落ち葉で焼く。何と言うか、労せずして自然からの恵みをいただくようなこの感じがいい。釣り師が「網のほうが早くないですかね?」という声を無視して糸を垂れるのも、労せずしてという感じがいいのかもしれない。殺人事件でも衝動的か計画性があるかを問われたりしますが、網はかなり計画性がある感じがします。網はないですもん。急には。でも竿と糸と針はあるかもしれない。そこにエサをつけて食いついたら引っ掛けるというこの労せず感。「何もしたくない」を心のスローガンとする僕としても、この「労せず感」が素晴らしい。

そんなこんなで、ひとつ夢が叶った秋でした。

次の夢は「自然薯のとろろ」に設定しておきます。




posted by フモフモ at 01:50 | Comment(3) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする