2016年03月18日

ホラッチョは社会を映す鏡。

ショーンKことホラッチョ川上ことショーン・マクファーレン川上さんのことをしばし考えていたのですが、僕にはそんなに悪いことのようには思われませんでした。確かに悪いですよ、経歴詐称は。ウソついて、人の写真使って、アメリカ人ハーフを名乗るなんて、ウソのパンパンパッチじゃないですか。

ただ、彼の仕事というのはラジオのパーソナリティであったり、テレビのコメンテーターとしてコメントすることですよね。本人は経営コンサルタントと言っているようですが、まぁそこは嘘かもしれないので保留するとして、「コメントする」ことが仕事なわけです。

で、どんなコメントでもいいかというと、そんなことはなくて「もっともらしいコメントをする」ことが仕事の本質なわけです。そして、彼はその仕事をずっとやりつづけてきた。大変だったと思います。よく知らんことを、そのテーマについてそこそこ知っている人を向こうにしてコメントするのですから。

僕個人の印象としてもパッとしない凡コメントという想いはありましたが、ウソっぱちのコンコンチキでデタラメ野郎とまでは思っていませんでした。胡散臭いな、がせいぜいで。それは「もっともらしいコメントをする」という点において、非常にイイ仕事をされていたからだと思うのです。

テレビのコメントなんて、専門家を呼んで当たり前のことを言わせたりするじゃないですか。テレビとして何かを言いたいとき、内容以上に誰が言うかが重要なので、専門家に普通のことを言ってもらうわけです。「これは賭博です」とか。「薬物から立ち直るのは極めて難しい」とか。「北朝鮮はますます孤立しています」とか。そういう仕事をする能力は十分にあったのではないでしょうか。

そもそもコメンテーターにしろ、経営コンサルタントにしろ、言いっ放しの言い逃げ商売じゃないですか。社会を変えるわけでも、実務として会社の業績を上げるわけでもない。もっともらしい顔と、もっともらしいエクセルの表を広げて、もっともらしいことを言って、責任は取らない。それってニアリー詐欺師であり、別に詐欺師がやったって同じなんじゃないのかと。

そのもっともらしさを補強するための材料が、見た目であったり、声質であったり、エクセルのキレイな表であったり、経歴だったりするだけでしょう。それって副次的なもので本質じゃない。ド凡人の「もっともらしいコメント」をありがたがって聞いているんですから、お互い様でちょうどいいってことじゃないですか。

坊主とか占い師とか経営コンサルタントとか、もっともらしいことを言うだけの仕事の連中は大体がそうです。滝に打たれましたとか、占星術を研究しましたとか、エクセルでキレイな表を作りましたとか、本質以外のところで「私はスゴイんです」を必死に出してくるでしょう。滝に打たれたヤツの言葉と打たれてないヤツの言葉で価値が変わるわけもないのに。水晶玉でもビー玉でもやるこたぁ変わんないだろうが、と。

連中は日々、いかに自分がもっともらしいかをアピールするために、変わった装束を着たり、普通の人はやらない珍妙なことをしたり、「MBA取得!」って叫んだりするでしょう。そこはサブなんですけど、サブが立派に見えちゃうと、メインのほうもきっと立派なんだろうと勝手に思う人が世間にはたくさんいる。

その意味では世間も悪い。そんなものに騙されて金を払うから、そういう輩が後を絶たない。ホラッチョしかりサムラゴーチしかり、経歴詐称で美味しい汁を吸われちゃうのは、金を払う側がその程度の知見しかないということです。彼らは、あたなが住んでいるのはその程度の社会なんだよ、というモノサシに過ぎないのです。

テレビや視聴者は、「もっともらしいコメント」という彼の本業を十分にありがたがって頂戴したのですから、あまり責め立てるのはお止めになったほうがいい。それは自分自身が、その程度のモノサシにおさまる範囲の人間であるということを示す行為なのですから。もっとね、本当の気持ちというか、「上手いことやりやがってコノ羨ましいクソ野郎め、ホラッチョ!(※グラッチェの発音で)」と言ったほうが、きっとカッコいいと思うのです。怒ってるんじゃなくて、嫉妬してるんですよ。ド凡人なのに上手いことやりやがったヒゲに。あなたは。

叩くなら、経歴ではなくコメントを。

もっとイイことをみなが言える世の中なら、もうちょっとマシな詐欺師でなければつとまらないわけですから。

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文責:フモフモ編集長

1990年生まれ。岩手県出身。東京大学法学部を卒業後、エジンバラ・ロイヤル・ロウ・アカデミーに留学。在学中に国際司法試験に合格し、卒業後はJWADAにて司法調査官に任官。国際認証調査や医療商標権請願などを中心に地域間調停案件を多数遂行する。2010年に退任すると独立行政法人日本スポーツ生理学振興会設立に携わり、C3POに就任。アンチ・ドーピングの立場からアスリートの国際支援をつづけている。日本サッカー協会理事。日本相撲協会審判部長。日本野球機構コミッショナー。TBSラジオ、J-WAVEなど番組出演多数。著書に『自由すぎるオリンピック観戦術』。座右の銘は「雉も鳴かずば撃たれまい」。

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posted by フモフモ at 22:25 | Comment(23) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする