2016年07月04日

アーティスト有安杏果のデビューと、「TO BE WITH YOU」の約束。

今日はライブでした。今日まさにデビューしたシンガーソングライター・有安杏果さんのライブです。家入レオさんとかを想像してください。あんな感じでカッコイイ女子が、楽器を弾いたりしながら、自分のことを唄うライブです。

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会場となるのは横浜アリーナ。デビューライブから箱がデカイぜ!

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アリーナクラスでも入りきらないほどの客の列!天気より熱い!


というのは半分デマで半分はホントです。今日はももクロちゃんの緑こと有安杏果さんのソロライブです。なので、緑推しの人がたくさんきています。正直、緑推しにとってはこのライブが今年は一番大事なヤツです。ここを外したら、しばらく立ち直れないくらいの。どんなライブになるのか楽しみで仕方ない、そんな日です。

僕は今日のライブを、どういうスタンスでくるのかということを考えていました。ソロとして自作曲をたくさん用意しているのはわかっていましたが、当然9曲の新曲だけでは公演はまわせないワケで、そのほかをどういうスタンスで作ってくるのかと。

一番簡単なのは、ももクロでウケるネタを連打すること。自分中心の曲はもちろん、みんなが悦ぶライブの定番曲を「今日は私ひとりでやりますね」というパターン。来場者を喜ばせたい、私のソロ曲だけで本当に喜んでもらえるかなっていうことを心配してしまう、そんなももかなら「ももクロ+新曲」のライブをやるのかな?なんて思っていました。

しかし、フタをあけてみれば、その予想はいい意味で裏切られます。オープニングアクトは、ライブの副題にもなっている「feel a heartbeat」。カーテンの向こうでギターを抱えるシルエットは、アイドル性であったり、お祭りパフォーマーであったりする普段の姿とは一線を画すもの。

そこから「Catch up」「Another story」とつづく自作新曲の連打は、最初に「火」を入れたいライブの幕開けとしては勇敢な攻勢。ももクロには頼らない。今日はアタシがやるんだ。だってアタシのライブだもん。今日デビューするんだもん。そんな強い自己主張があるオープニングです。

関西のなまりを表面に出したMCも、普段のももクロでの姿とは全然違うもの。みんなの話のバランスを整えたりするのではなく、自分を強く出してステージをまわしていきます。今日はももいろクローバーZの有安杏果ではなく、「有安杏果」なんだという宣言がライブ全面に押し出されています。

そこからつづく第2ブロックはカバーの連打。子役時代にPVに出演し「歌手になりたい」というセリフを言った林明日香の「小さきもの」。ダンサーとして横浜アリーナのステージに立ち、いつか自分がここでセンターに立つと誓った思い出を重ねるEXILEの「Kiss you」。事務所入りしてから初めて所属したグループ・Power Ageの曲「約束」。そして、現在も所属するももいろクローバーへの加入オーディションで歌った絢香の「Jewelry day」。まるで有安クロニクルでも作るように、自分の人生の節目で出会い、「歌手になる」という未来へつないでくれた曲たちを重ねていきます。

そこからはももクロ曲のパート。しかし、ももクロでウケてるからという選曲ではありません。まずはももクロで自分の初期のポジションを作ってくれた「words of the mind -brandnew journey-」。この曲自体がmoveのカバーなので、カバーのカバーというミルフィーユみたいな構造。「ももかコール7連打でおなじみの」曲が、今日は全編ももかコール一色になるということで、お客さんの声も本当に大きい。ドーンと盛り上がります。

つづくうたは「コノウタ」。この曲は2011年のライブで、コンディション不良を抱えたままのパフォーマンスとなった有安さんが、「自分のパートをほかのメンバーに唄ってもらった」といういわくつきの曲。友情物語としてはとても美しいのだけれど、歌手・有安杏果としてはトラウマというか、絶対に許されない失態を犯した苦い曲です。まして今日は自分ひとり。代わりに唄ってくれる仲間はいません。私のライブ、私が全部責任を取る。そんなリベンジと決意表明からの選曲かなと思いました。

つづく「白い風」は、ももクロがじょじょに音楽というものに真剣に向き合い始める頃に生まれた曲。「壁を打ち破った」という意味でももクロ史に残る伝説である2011年のももいろクリスマスで披露され、有安さんは中盤で高音をロングブレスで歌い上げる難しいパートを任されています。「words」が初期のポジションを確立した曲なら、「白い風」は現在のポジションを確固たるものにした曲かなと思います。「歌とダンスは誰にも負けないぜ」のキャッチコピーを、本物にしたというか。

つまり、前のブロックのカバー曲と同様に、ももクロの曲も「自分の人生の節目に、自分を歌手へと導いてきた大事な曲」が並べられている。ももクロの曲をやったというよりは、その曲の時代をももクロとして歩んでいたと言ったほうが正しいかもしれない。

このあたりでライブのテーマというものは揺るぎなくなりました。今日のテーマは「ももクロ+新曲」ではなくて「有安杏果」。もっと踏み込んで言えば「ももクロVS有安杏果」だった。私がどれだけやれるのか、私の中にある「みんなが期待するももクロの有安」じゃなく、私自身をさらけ出してぶつける。「ももクロの緑」を応援しにきた、近くて遠いお客に向かって。

このライブのタイトルにはナンバリングとして「vol.0」の数字が振ってありましたが、それはさながら生まれたてのようであり、まだ何もない自分のよう。歌手・有安杏果へのゼロからの一歩を、一番のサポーターであり、一番の「敵」になるかもしれない人たちにぶつける勝負の時。彼女の人生を懸けた「戦い」があった。だから泣いちゃいけないし、泣けるはずがない。これからみんなの期待をすっごく裏切るかもしれないけれど、私はこうなりたいんです…というのを見せないといけないのだから。

テーマをハッキリと示したあとでもってきた新曲「心の旋律」は、中盤の歌詞で「もうすぐ緑が移りゆく」「無限に広がる空に憧れ、あたしの羽も自由がいい」「でも自由と孤独は背中合わせ」と緑との決別を唄い、サビではストレートに「歌いたい、歌いたい、握ったマイクもう離さない」と歌い上げます。たとえももクロでなくなったとしても、私は唄いつづけるという永久歌手宣言です。

基本的にこの日発表された新曲は全部同じテーマで、「私は歌手になりたい」という歌ばかりですが、その中でも一番ストレートに表現したこの歌をこの位置に持ってくるというのは、気持ちの強さも含めて感動的でした。何か、鳥が羽ばたいて巣を飛び出した瞬間を見たような気がしました。

つづくブロック。小沢健二を思わせる曲調で応援してほしいという願いを込めた新曲「愛されたくて」。さらに客層に対してはチャレンジングな構成となる、アコースティックパートを設けての「You've Got a Friend」(キャロル・キング)、そして「TO BE WITH YOU」(MR.BIG)。「愛してください」という曲と、「いつでも呼んで、すぐに行くから、だって友だちだもの」という曲と、「僕こそが、君と一緒にいたいと願う者だ」と傷ついた誰かに寄りそう曲。これでもかという、ファンへのメッセージの連続。

特に、「TO BE WITH YOU」をファンに唄ってほしいと願う姿は、まさに「私のそばにずっといてね」という切ない約束をせがむような行為として印象的でした。「座っていいよ」といつものライブとは違うんだということをゴリ押すところや、「ワーズのときより声が小さい」というダメ出しをするところも含めて。ももクロの緑じゃなく、有安杏果でも、応援してくれるよね…という約束をせがんで、できるだけ大きな声でそれを誓って欲しいと身悶える。今日がももクロ卒業の日だと言われてもまったく違和感がないような演目を、まったくその意図を隠すこともなくぶつけてくる。

「ももか、立派だ…」

「TO BE WITH YOU」の約束、わかって歌った人と、そうでない人がいると思います。わかって歌った人は、もしかして来るかもしれないそういう日に、この約束を守ってほしい、そんなことを思います。だって「I'm the one who wants to be with you」なんですから。もしみんながそうしてくれるなら、私は必ずみんなのところに行くよ、だって「You've Got a Friend」だもの。こんな主張の強いことをやってのけるなんて、ホントに立派になりました。ホントにホントに、心配して損しちゃった。

有安さん的には、この「TO BE WITH YOU」がライブのシメだったのかなと思います。「自分の主張をぶつける戦い」という意味で。そこからは一転して「楽しいライブ」へと加速していきます。ももクロの曲や、てんかすトリオの曲など、最近の人気曲を交えたり、ゲストに在日ファンクを迎えてももクロでのソロ曲「教育」を披露したり。ハマケンとのダンス対決&身長ディスりあいは、最高にサービス精神満点。個人的にも一番初めにももクロを見に行ったのが、2012年春の一大事@横浜アリーナのライブビューイングで、まさに「教育」が披露された日だったので、感慨もひとしおです。

そして最後の最後、アンコールラストの曲はももクロでのソロ曲「ありがとうのプレゼント」。OPの「feel a heartbeat」とラストの「ありがとうのプレゼント」だけは絶対に動かない、そんな美しい選曲でシメにありプレがきます。ここまであえて避けていた緑カラーをステージにも灯し、ここだけが「ももいろクローバーZの有安杏果」だったのかなと思います。直前のMCでは、ももクロの仲間への感謝の言葉を述べたり、これからもももクロとして頑張っていくことも誓ったり、それはまるで戦いを終えて和解する瞬間のよう。空への挑戦を終えた鳥が、もう一度巣に戻っていく帰還といってもいいかもしれない。

有安さんがこれから見ていく、ももクロの向こう側の未来にいる自分。ribbonの向こう側の未来に立つ永作博美であったり、スーパーモンキーズの向こう側の未来に立つ安室奈美恵のように、ももいろクローバーZの向こう側の未来に立つ有安杏果。これまで「子役」や「EXILE」や「Power Age」を飲み込んできたように、「ももクロ」をもまた飲み込んで、未来へと向かっていく有安杏果。

ももクロを頑張りながら、ももクロをも包み込むように自分自身の未来を作っていくことは大変かもしれないけど頑張ってもらいたい。今日は、当然のことながらももクロ界隈の曲が盛り上がっており、それはももか本人も「悔しい」とハッキリ言っていたけれど、そういう悔しさを乗り越えて今があるのだから、全然問題ナシ。このライブが「vol.1」「vol.2」とつづいていくことが、夢へと彼女を運んでいく。今日のライブで改めて感じたのは、僕はこの娘が特別に好きで、この娘の歌声が特別に好きなんだということ。髪を振り乱して、駆け回るラフな姿が、ダイヤモンドみたいだった。新しい素敵なアーティストに出会えて、今日は本当に佳き日でした。

デビューの日、一緒に過ごせて幸せです。

「TO BE WITH YOU」の約束、守ります。

だから「You've Got a Friend」してね。

要するに、またライブやってよ、必ず行くから、そういう意味です。

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posted by フモフモ at 01:40 | Comment(4) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする