2016年09月01日

グランピング最大の楽しみは、虫。

夏休みをしてきました。短い時間ではありますが、大旅行のあてもなく、ちょうどいい感じだったと思います。やったことは、この夏の課題として掲げていた「グランピング」。グラマラスなキャンピングをやってまいりました。

水辺の景勝地でゴージャスなコテージに入ると、エアコン完備の白亜の空間。白く美しい壁とアクセントで混じる木造りの家具。そしてアウトドアグッズ。コテージとホテルの中間を漂いながら、ホテルに限りなく近づいていくような空間は、夢のようでした。

しかし、ゆったりとした空間で横になると、何もすることがありません。そうか、キャンプというのは、「不便」が本質にあるので、その不便をグラマラスに取り除くとヒマなんだなと再発見します。魚釣り(食糧調達)、柴刈り(燃料調達)、薪割り(燃料加工)、テント建て(住居建設)、飯盒炊飯(調理)といったキャンプの醍醐味は、すべてグラマラスに取り除かれてしまった。

本来なら、そうしたひとつひとつがイベントであり、出し物であったはずのものが華麗になくなってしまった。火を起こす作業すら僕はしていない。お湯はポットでわくから。それを楽しむはずのエンタメで、それを取り除いてしまうと中身がなくなっていく。何というか、めっちゃ退屈です。

もちろん楽しい部分はちゃんと残っています。森の中を散策したり、鳥を探したり、木の実を探したり。ただ、何と言うか、目的のない行為というのはダレるというか、適当になるというか。鳥を探す=食糧であり、木の実を探す=食糧じゃないですか。だからこそ、見つけたぞー!の喜びもある。平時において鳥にも木の実にも興味ないのに、改めて熱心に探したりはしない。

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森です。

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キノコです。

なので、何をしたかというと、ひたすらコーヒーを飲みました。森の中でコーヒー豆を挽いてもらい、わかしてもらったお湯を注いで、コーヒーを飲みます。カップはアウトドア系のグッズなので、雰囲気は最高です。それを切り株の上で飲んでみたり、テントの中で飲んでみたり、たき火のまわりで飲んでみたり。そしてスマホをいじる。「山奥のカフェに入り浸っている」感じで時間を過ごしていきます。

待望の食事の時間には、バーベキューをすることができますよ、というありがたい提案がグラマラス側からはあったのですが、何だか面倒になってしまい、全部調理してもらいます。普通にレストランでごはん食べた感覚で、貴重な食事はすぎていきます。

夜のキャンプファイアー。たき火のまわりでは音楽会が開かれました。しかし、そこに至る僕の心境は、かつて小学校で味わったそれとは少し違うもの。「達成感」というか「やった感」がないと、それはタダのたき火だった。すべての仕事を終え、メシを食べ、あとは寝るだけとなったとき、その喜びで人は火のまわりに集まり、歌を歌うのかもしれません。僕は、何もせず、コーヒーを飲んでいたお客さんだった。

「何だか、山奥のホテルにきただけだな…」

ふっと我に帰る瞬間。本当にコレはキャンプなのか。コテージのデッキに出て外を眺めながら、そんなことを思います。雨が降っているのに、雨だれの音さえ感じない立派な居室。コレで本当にキャンプと言えるのか、と。何もせず、ただただ森の中でコーヒー飲んで、メシ食って、スマホいじってるだけじゃないか、と。貸してくれたアウトドアグッズは一度も使うことなく、しまいには邪魔だから部屋に置いてでかけているのに、これがキャンプなのか、と。

「そんなことないよ、俺たちがいるよ!」

そんな時、そう言ってやってきてくれたキャンプの仲間がいた。それが「虫」。虫は僕に近寄り、「血をくれよ!」と言います。僕はそれをアハハと笑って追い払い、火のほうに追い込みます。すると別の虫が「俺もここに一緒に住むよ!」と網状の巣を作り始めます。僕はそれをアハハと笑って、木の枝で破壊します。白い壁にチョコチョコ止まる小さな黒い影。こんなにも仲間がいる。僕はそれをひとつずつ丁寧につぶしていきました。

やっとキャンプが始まった。

僕は喜びに満たされました。グラマラスにすべての不便を取り除いたけれど、取り除けないものはちゃんとあったんだ。虫という苦労。虫というキャンプ感。僕は生まれて初めて虫に感謝しました。来てくれてありがとう。キミたちを待っていたよ、と。もうコテージのデッキはひとりの空間ではありません。次々にやってくる仲間たちとのキャンプファイアー。小さなかがり火を眺めながら、僕は酒を飲み、虫は火に近寄る。何もない、けれど満たされた時間。

やはり物事は本質を見つめることが重要です。本当に楽しいのは、テントで寝ることなのか、たき火をすることなのか。誰かと一緒に苦労をすることそのものだったりしないのか。「友だちと一緒にいればトランプでも楽しい」とは僕の名言ですが、キャンプもまさにそうなのかなと思いました。友だちや家族と一緒に苦労をしてこそ意味がある。苦労をするためにわざわざ不便な環境に身を置いている。そういうものなのだと。

虫がそれを教えてくれた。

僕は居室内の虫をすべてつぶし、部屋についていた虫よけのスプレーを大量に噴霧して、やっとひとつの「達成感」を得ることができました。グラマラスな虫退治。グランムシキングとでも言うべき小旅行。大変満足しました。「次はやっぱり沖縄にしよう」「山より海が好き」「水着の若い女性もいるし」という手応えを胸に、僕のグランピングブームは終わりました。すごく楽しく、一回で十分に満足できる、花火のような夏の大イベントは…!

ありがとう虫!またいつかどこかで会おう!

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キャンプファイヤーの前でスマホをいじる夜。



posted by フモフモ at 00:11 | Comment(3) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする