近所の山に向かい、会社に行くよりも早めの出発。昼には頂上につきたいと思い道を急ぎます。道中のなじみの蕎麦屋も酒まんじゅうもすっとばしまして、とにかく頂上へ。頂上でご飯を食べて、そしてスマホをいじる。贅沢な時間が楽しみです。
山を「のぼる」ことには一切興味がないので、途中は大胆にケーブルカーでカットし、中間地点まで一気にワープします。眼下に広がる街並みを見下ろし、秋を堪能。もう少し全体的に見やすくなるように、手前の木を伐採したりベストな角度に展望スポットを作ったりすればいいのにと思いつつ、例年と同じ場所で例年と同じ景色をとります。
例年と同じです。
紅葉の色づきは思ったほどではなく、十分ではあるのですが、ワーっとテンションが上がるほどではありません。ま、いいか。インスタで補正すれば。最近は思い出すら画像編集で彩度をいじったりするのが当たり前。紅葉が赤くなければ色補正かけて赤くしてしまえばOK。心で見た風景が現実よりちょっと美しいように、写真の風景も現実よりちょっと美しくなるのです。
色補正してない思い出。(記憶違い)
色補正した思い出。(そうそうこんなんだった)
色補正してない思い出。(記憶違い)
色補正した思い出。(そうそうこんなんだった)
頂上につくとそこには相変わらずたくさんの人。以前のぼったときよりも小奇麗になった気がする山小屋ではおでんやらを売っています。持参したおにぎりをいただき、温かいコーヒーを飲む。山の空気がウマイ!
……ウマくない。
なんか焦げたようなイヤーな匂いがするぞと思って周囲を見渡すと、カセットコンロに網をのせて焼肉をやっているオヤジたちがいるじゃないですか。片手にはスーパードライ。完全に焼肉宴会です。あぶっては食べ、飲んではまた食べる。美味そう…じゃなくて、煙いじゃないか!
前からそうだったのかネンイチくらいでしかこないのでわかりませんが、なんでしょうこの「山ならいいだろう」的な態度は。公園で焼肉していたら、非難の目で見られるでしょう。一緒ですよ。山頂なだけで。読者モデルみたいな女子がインスタ映えを求めて「ちょっと遠くまで」きてるだけで、ここは事実上の公園です。新宿御苑の芝生で焼肉はしないでしょう。それが何故「山ならいいだろう」になるのか。
よくよく見ると「山ならいいだろう」勢はたくさんおり、ビールサーバを持ち込んでいるもの、おでんをコトコト煮ているもの、温かいスープを作り始めるものなど、山頂というよりは厨房といった雰囲気。下でやればもっと簡単なものを、わざわざ上まで運んでくるとは。そんなにミネストローネ食べたいですかね。ミネストローネってそこまでのポジションでしたっけ。
もしかしたら自然の中に入ると、人間は少し本当の姿を取り戻すのかもしれないなと思います。公園で焼肉はやらないですけど、自分の家の庭の芝生で、近所に誰もおらず、誰も文句を言ってこないことが確実なら、焼肉やりたいもの。誰のものでもない、ただ天狗の許しさえあればいいという山でなら、心で「天狗様!焼肉をしてもいいでしょうか!」と問い掛けると「オッケー」と聞こえるのかもしれません。
次回は僕ももうちょっと現地作業というものを準備したいなと思いました。パッと思いつくのでは、熱湯を持っていってラーメンとかコーヒーとか。何か、すごい「映えそう」な気がするんですよね。そのひと手間、その苦労が。天狗様!もしかしたら次は焼肉をやるかもしれませんが、許してくださいね!