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2013年09月28日

あまちゃん最終回〜「第二章・イーハトーブへ」

あまちゃん制作スタッフのみなさん、お疲れ様でした。そしてありがとうございます。

半年間、本当に素晴らしい時間をすごさせてもらいました。事前特集の予告VTR。まだどこの誰とも知らなかった能年ちゃんが海に飛び込む姿。遠くからひきの映像でとらえ、チャプンと海に落ちるあの映像。「面白そうだな…?」という直感レーダーのささやき。1話目から録画して、全話をHDDレコーダーにおさめることができたのは、2013年のイイ仕事でした。これで今年は仕事納めと言ってもいいくらいです。

ま、ブルーレイ買えよって話ではあるんですが、ライブ感ってのも大事ですからね。朝イチでの受けのコメントもセットで見たいじゃないですか。あれやりたかったですねー。毎朝あまちゃんを受けて1分ほどしゃべる、って仕事。感想言いまくりたいですもんね。

28日の最終回。

もはや、語ることは多くありません。登場人物のストーリーはキレイに回収され、唯一もうひと波乱あるかと思ったストーブさんについては、逆に何にもないという形でキレイに物語が終わりました(笑)。新たな動きっぽいものとしては、最終回での恐竜化石発見のお知らせくらいでしょうか。これって、実話らしいですね。本当に久慈で琥珀博物館の採掘場で見つけたっていうことで、まさに勉さんの採掘場で見つかったのとまんま同じ。実話をストーリーに取り込んでくるとか、オシャレですね。ミズタクは琥珀掘りしてないで、ちゃんとマネージャーやれよと(笑)。いや、もういっそ、ちゃんと琥珀採掘場のマネージャーやれよと(笑)。


僕は岩手県の出身なのですが、先日同郷の友人と会ったところ、彼は久慈まで行ってきたらしいんですね。あまちゃん好きが高じて。彼のおさめてきた写真には、オープニングで出てくる灯台や、ストーブさんが窓からのぞいている観光協会の建物など、ロケで実際に使われている現地の風景がおさめられていました。

そして、ふっと思い出したのですが、僕もそう言えば久慈に行ったことがあるなと。子どもの頃に体験学習か何かで県内を遠征したときに、久慈で本物の海女さんにウニを取ってもらってその場で割って食べたり、琥珀堀り体験をして小さなカケラをもらって帰ってきたりしたっけなと。あのウニ、別に美味くも何ともなかったな…と思ったりしました。本当に、あそこはああいう場所なんです。

今日であまちゃんは終わりましたが、あまちゃんの世界はつづいています。

そこに、あります。

震災から立ち直り、赤白青のディーゼル車はリアス海岸沿いを元気に走っています。恐竜の化石が見つかった琥珀採掘場はあります。北限の海女が集う海女センターはあります。夏ばっぱが腰掛ける階段はあります。ダサいブティックとか、駅前のスナックとかもたぶんあるでしょう。もちろん、まめぶも!

震災編以降、急速に実話とのシンクロが進んできたあまちゃんですが、最終話を迎えるに至って、ついに現実と物語の境界すら曖昧になってきました。確かに能年ちゃんが演じるアキちゃんは久慈市にいないですけど、アキちゃんたちが暮らした町や、大切なものを流された人々や、それでも立ち上がって今日を生きている力強いばあ様や、アキちゃんと同じように地元で愛される美少女はそこにいる気がしてきました。いや、いるでしょう。多分、確実に、きっと。あの物語みたいな暮らしをしている人たちが北三陸のあのあたりにいる。まるでパラレルワールドのように。

岩手県が生んだ詩人・宮沢賢治は彼の作品世界にイーハトーブという理想郷を登場させています。通説では、それは彼が暮らす岩手県をモチーフとしていると言われています。現実においては貧しく、寒く、決して理想の世界とはいえない土地にあっても、賢治の目を通して見る心象世界では、その土地にぴったり重なるように理想郷が見えていたのです。

あまちゃんと現実世界もそういった関係性を持つことはできないでしょうか。

最後まで幸せに満ちたあの物語のフィルターを通して世界を見れば、そこに幾多の悲しみが刻まれていても、悲しみを超えて歩む人々の明るさや強さも同時に感じられるのではないでしょうか。

その核は現実にあります。現実の悲しみ、現実の明るさ、現実の強さがすべての出発点です。それを取り込んだ物語が、「あまちゃん」という理想的に織り上げられたフィルターを見るものの心に被せることで、悲しみを和らげ、明るさを鮮やかに、強さを凛々しく際立たせてくれるのです。ウソじゃない本当の世界を、ウソみたいな素敵な世界に見せてくれるのです。

ふるさとの小汚い駅前の商店街が、心の目には華やかな大通りに見える瞬間がありませんか?

それは、そこで培った楽しい思い出が、僕らの心にそう見えるように仕向けているからです。僕は盛岡の町に帰り、駅前から開運橋を渡り大通りに出ると、パッと気持ちが華やぎます。なじみの模型屋の前をとおり、川徳から城址公園の脇を抜け、神社に会釈をして肴町に向かうときのワクワク感。そりゃあ青山や六本木に比べれば鈍色の枯れた町ですが、思い出が、記憶が、理想の世界のフィルターが僕の心を覆っている。そこには青春があり、夢がある。イーハトーブがある。

半年前、あなたはあのあたりの土地をどう見ていましたか?

「被災地」という何かとてもボロボロな荒野を思っていませんでしたか?

それは確かに現実ですが、必ずしもすべてではない。ただ、一度心にかぶさったフィルターは容易には剥がれません。峻烈な記憶が、「被災地」以外のものとして彼の地を見ることを許さないのです。

でも、今はどうでしょう。

あの浜を見たとき、津波で流された傷跡が見えるのか、浮上したアキがウニを掲げる姿が見えるのか、どちらでしょう。僕にはもう、「あまちゃん」の町にしか見えません。あの場に立って、潮騒のメモリーを口ずさみ、灯台までダッシュする姿しか想像できません。そして、海に飛び込む姿!飛べ込めアキ!

これがエンターテインメントの魔法なのか。

現実にふりかけた少しのウソが、心の在り方をこんなにも鮮やかに変えてしまうなんて。どれだけのドキュメンタリーや、どれだけのニュース映像を見るよりも、勇気と喜びがわいてくる。こういう復興支援も素敵じゃないですか。そんなつもりないかもしれないですけど、結果的にそうなってるんですから、素敵じゃないですか。エンターテインメント、なかなか大したヤツじゃないですか。


最終話のラストシーン。

畑野のトンネルの向こう側へアキとユイは駆けていきます。光に満ちたその景色。ユイちゃんは、あの日、そこで何かを見た。そして、長かった時間を超えて、新しい何かを見た。アキとユイはどんどんどんどん走って行きます。ちょうどそのとき着ていたアキの服は、オープニングでいつも着ていたもの。お馴染みのタイトルロゴが飛び出すと、いつものように灯台の下へダッシュしていくアキ。しかし、いつもと違って、隣にはユイがいる。長い防波堤を走り抜けるふたり。アキは「海死ね、ウニ死ね、リアス死ね」の殴り書きを踏みつけてジャンプします。そして、灯台の下で微笑みを見せるふたり。

これって、あまちゃん第二章のオープニング映像ですよね?

話、終わってないんです。

今、新章が始まったんです。

このオープニングにつづく物語をつづるのは、僕らそれぞれの心です。

さぁ、どんな物語をつづりましょうか。

すんげー楽しいヤツですよね、それは譲れない。どんなことも笑いに変えて、強く生きていく話ですよね、それは譲れない。毎日が楽しくって、毎日が元気になる物語ですよね、それは絶対に譲れない!

あまちゃんが終わって「あまロス」なんていう新型うつみたいな病気になってる人がいるそうですが、ちゃんちゃらおかしい。新章のオープニングテーマ、今見たばっかりじゃないですか。

お座敷列車が走っても切れなかったアキのミサンガ。僕らひとりひとりがつづる、心の中の第二章で切ってあげましょう。どんな場面で、どんなセリフで、あなたならあのミサンガを切りますか?久慈が、気仙沼が、南相馬が、陸前高田が、名取が、福島が、釜石が、塩竃が、宮古が、お座敷列車再開よりも幸せな日を迎えられるような物語で、あのミサンガを切ってあげてください。

「じぇじぇじぇ! ミサンガ切れだ!!」

その言葉、聞きたいですもんね。







posted by フモフモ at 22:39 | Comment(5) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
フモさん、、、。
BGMで「星めぐりの歌」がかかるたびにしんみりとした
気持ち(子供の頃の記憶)がよみがえりましたが
あの曲を"わかる"自分がうれしかった
記憶って、そんなものですよね。

あまちゃん2はいらない。
第2章の始まりだ、でストンと合点がいきました。ありがとう。
Posted by あまロスを飛び越えて@地元は花巻 at 2013年09月29日 01:19
フモさんありがとう、故郷の違った景色を見られそうです。
Posted by バイロ at 2013年09月29日 07:47
土曜日は早アマ朝アマ総集編昼アマ全部見て泣きました。
今、エンディング見るだけで泣けてきます・・・
みんな元気になれたらいいな。
Posted by yukiyuki at 2013年09月30日 07:12
あまちゃんは、自分なりの続編などを考える気にさせるドラマでした。NHKの朝ドラではこういうことはあんまりないような気がします(コアな人は梅ちゃん先生とかでやって他かもしれませんが)。
自分としては、やはり、最終週の鈴鹿ひろ美の歌がすばらしかったと、思い起こしております。
Posted by るるるの歌 at 2013年10月02日 18:21
あまちゃん、全てが素晴らしかった。朝ドラのヒロインの「散々周りを振り回しておきながら、終わり良ければすべて良し」みたいな世界にには辟易していたので、こんな朝ドラを待ってたのです。まぁ、クドカンと同世代?なので色んなネタがツボだったというのもありますが。
でも一番驚いたのは、フモフモさんが同郷(岩手)ということ。ずっと盛岡にいる私ですが、変わらず地元が好きです。
Posted by ひな at 2013年10月02日 23:21
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